改訂版 遺言実務入門
改訂版 遺言実務入門
(三協法規出版)
評価92点
この書籍は、そんなに分厚くなく、本当に入門書である。
といえば、薄っぺらくて、使えないような印象だろうが、まったくそんなことはない。
よくできた書籍である。
入門書らしく、準備すべき必要書類のリストが載ってあったりして、マニュアル的な使い方としても十分機能する。
イレギュラーな場面という意味では、他の書籍に譲る点もあろうかと思うが、およそ、実務で問題となるポイントをかなり網羅しており、意外とそれが、他の書籍では言及がなかったりする。
決して分厚くないのに、他の書籍では紹介されていない裁判例も多数紹介されいるのである。
遺言執行の場面も書式を交えて解説してあり、これもまた決して分厚くないのに、充実している。実務書と一口に言っても、結局、具体的に何をやればいいのかは、読者で考えなければならないものが多い中、こういうことをやるというのが具体的にイメージできるようになっている。
金融機関での手続きのポイントなど、ワンポイントアドバイスとして記載ある点が、極めて実際的で、目に浮かぶような記載ぶりであって、これを通読すれば、やったことがなくても、傍目にはそうとは思えないくらいに、具体的な話ができる人間になってるやもしれない。
もちろん、各論において、イレギュラーなところをカバーするには別の書籍も手に取った方がよいと思われるが、「遺言実務入門」というタイトル通り、入門に最適であるが、通読すれば、入門レベルより、もう一歩先まで勉強できるという書籍であると言える。