条解 破産法
条解 破産法
(弘文堂)
評価 85点
この本は、めちゃくちゃ高い。
専門書は数千円が当たり前だが、さすがに2万円を超えてくると高いとしか思えなくなる。
但し、それだけの価値がこの本にあり、とても詳しい。
この本が必要となる場面は、基本的には単純に同時廃止で終わらない可能性のある、一定程度の問題のある事案が想定される。
実際に管財事件になる、ならないは別として、否認の法理や、執行との関係など、いわゆる裁判所が作っている同時廃止の一般書式が想定していない展開のときに、活躍が期待される。特に別除権の問題や、相殺制限など、素直な動きを当事者がしていないときに、この場合は、どうなるのかといった条文的裏付けに当たることができる。
破産財団を構成する財産の位置づけが、相当詳しく乗っているといえる。
通読したり、普段から手元に置くような書籍の類ではないが、イレギュラーな対応が必要な際に、条文の趣旨や解説に当たることで、指針を得ることができる辞書的な書籍であると思われる。
単純な同時廃止案件では、正直なくてもよい本である。
また、あくまで条文趣旨を理解する指針を得るのであって、Q&A的な、具体的事案における結論をぱっと見出すような使い方は難しい。
イレギュラーな事態や、管財案件となると、根拠づけに当たる必要が出てくる。そんなときに理論的には、こう考えられるという裏付けを得ることができる。こういった場面というのは急に発生するものである。机上に一冊は全く要らないが、本棚に常備しておきたい一冊というところであろう。