法律実務の覚書

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破産前の換金目的のクレジット利用は、252条1項2号の換金ではなく5号の詐術等の問題になりやすい

支払い不能になりつつある状態で、現金を求めて、クレジットカードでの物品購入&現金化という行為がされたりすることがある。

売却して換金しているので、免責許可事由としては2号にあたりそうだが、どうだろうか。

2号では、著しく不当な金額での売却を要件としているが、お金に困って現金化を狙ってするときは、容易に高額のお金に変えられるような物を購入するので、元々の価額の90%以上の現金を得ることが多いだろう。

とすれば、著しく不当な金額での売却などなされておらず、経済的不合理性は見られない。

故に、2号での議論で妥当するケースは稀であって、寧ろ5号の詐術の方が可能性が高い。

支払が無理だと気付いていながら、信用取引を行う。また、その前提として欺罔行為を要求するが、これについては不告知で足りるという説と積極的な嘘などを必要とする説がある。

条解破産法では、積極性を要求することが妥当ではないかとのことだが、不告知で足りるとする説でも消極的な動きでしかなかったことは、裁量免責における有利な事情になるので、どちらの説であっても結果的には、大した差異は見られないようではある。