法律実務の覚書

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登記官からみた「真正な登記名義の回復」・「錯誤」

登記官からみた「真正な登記名義の回復」・「錯誤」

(新日本法規)

評価 95点

旧法時代、錯誤はとても便利な登記原因で、なんでも錯誤で抹消できたかもしれない。

しかし登記原因照明情報制度が導入されてからはそうはいかない。

この書籍では、真正な登記名義の回復と錯誤について、詳しく解説しているが、安易に使うことなく、慎重であることを求めている。

真正な登記名義の回復が主テーマであるが、他の登記原因による道もありうることを書いており、意外とここが実務上のポイントになると思われる。

例えば、委任の終了であるとか、名義があったことを法的に構成して、実体と合わせることを努力すべきで、安易な登記は危険であることが読み取れる。

というのは、登記と実際が乖離している状況が、この分野でのスタート地点であるところ、少なからず、スタート地点がいわば嘘の登記であることがままあるということである。

それが、後の状況の変化によって、何らかの登記をせねばらないことになって、問題が顕在化し、専門家に持ち込まれるているというところで、この書籍が活躍することになる。

そこで、安易な登記をしてしまうと、違法な登記となりえ、常に懲戒が横について回りかねない危険な分野である。

この書籍は、真正な登記名義の回復や錯誤、またはその他の方法で、実体にいかに沿わせるかということを念頭に、登記官の目で解説されている。解説もさることながら、注意喚起をしっかりしてくれているところが、最も有意義な部分であると思われる。

「本当は、違うんだけど」という話が出てきたなら、この書籍を熟読することが必須であり、特に慎重にことを進めなければならず、時に法務局とも議論をして、安易な登記申請にならないように進める必要があるであろう。

 

登記官からみた「真正な登記名義の回復」・「錯誤」―誤用されやすい登記原因―

登記官からみた「真正な登記名義の回復」・「錯誤」―誤用されやすい登記原因―