法律実務の覚書

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Q&A 生活保護利用者をめぐる法律相談

Q&A 生活保護利用者をめぐる法律相談

(新日本法規)

評価 95点

 

生活保護のことであれば、生活保護手帳と別冊問答集は必須であるが、実際の現場では、その二つを参照しても、結局どうなのか迷う場面が少なくない。

また、特に保護手帳は、どこになにが書いてあるのか、現場ですっと探すには、あまり便利ではなかったりする。

そんな場合に、この書籍を紐解けば、大概のことは解決すると言っても言い過ぎではない。

 

なかなか入手のしにくい東京都福祉保健局の取り扱いなど、通達、裁判例以外を根拠にしたものもあり、幅広く根拠づけがなされている。

これら根拠についても、保護手帳の何ページであるというところまで言及がなされているため、原典に当たることも容易になっており、根拠の索引機能も高い。

 

借金と生活保護、年金担保と生活保護など、借金関係がまつわることは、生活保護利用者が債務整理の場面でどうなるかについて有用であるし、交通事故、相続(相続放棄含む)、刑事事件など、他の法律問題との関係で、生活保護がどうなっていくのかというテーマも多数あり、生活保護を直接支援するような立場でなくても、他の手続きの影響が生活保護にどう出るのかといった点は、多くの実務家にとって、かなり有益であるといえる。

 

この「Q&A 生活保利用者をめぐる法律相談」では、相談現場でよく迷う部分が、ポイントとなるところを適示しながら、専門実務書としては、かなり平易に書かれている。

法律関係のことを平易に書くというのは、結構難しいものであるが、この本は、それをうまく乗り越えて、かつ相談現場で実際に使えるレベルを維持しているところも大きな特徴である。

この本を手に取るのが、弁護士や司法書士だけでなく、福祉関係者など支援者も含めて、幅広い読者を想定しているのかと思われる。

  

Q&A生活保護利用者をめぐる法律相談

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