渉外 不動産登記の法律と実務
渉外 不動産登記の法律と実務
(日本加除出版)
評価90点
昨今、島国である日本でも、外国人の方が不動産にかかわることは、増えてきている。
この本は、渉外不動産登記についてであるが、売買についての記載があるのは、全体の1割ほどで、ほとんどが相続について、詳しく載っている。
よく関与しうる各国編として、韓国、中国、台湾、ヴェトナム、フィリピン、インドネシア、タイ、シンガポール、インド、ブラジル、イギリスの例の記載がそれぞれの国ごとの法律で相続がどうなるかについて記載されている。
この本では、各国法がどうなっているかはもちろん、日本から手続きをするにあたって、現地の調査の方法や流れなども記載され、また参考になるのが、全ての国でではないが、現地の証明書の見本が載っており、イメージがしやすい。
この見本があるのは、結構重要なことで、法律実務家がイメージしやすいのと同時に、相談者もイメージしていないので、どういうものが必要なのかを共有するのに特に役立つ。
もっとも、上記各国以外の国の相続というのもあるし、実は一番多いのは、被相続人が日本人で、相続人の一部に外国の方がいるということかもしれない。
この書籍では、日本の法務局が、どういった書面を要求するのかということを言及する中で、相続人の一部に外国の方がいるという汎用性の高い部分にも対応できるような構成になっており、使える場面は非常に幅広い。
戸籍制度を持っている国(地域)は、日本、韓国、台湾といった世界の中では、極少数であり、戸籍がないゆえに、宣誓供述書に頼ることはとても多いと思われる。
各国は、住民票制度もないこともあり、宣誓供述書で住所を確認するという方法を取ることも少なくないと思われる。宣誓供述書の見本も相当程度収録されており、渉外相続であれば、まずはこの一冊という書籍であると言える。