法律実務の覚書

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要件事実論30講

要件事実論30講

(弘文堂)

評価 93点

この書籍は、入門的な要件事実論を理解した人を対象として、具体的な例を多数載せながら、要件事実論の基礎・応用力を身につけさせるというものである。

ロースクールの学生や司法書士特別研修を受ける司法書士にも活用されたい旨記載があるが、司法書士の特別研修を受講するにあたっては、いささか詳しすぎると思われる。

660ページもあり、それなりの時間がかかることもあり、特別研修及び認定考査レベルであれば、他の書籍が相応しいかと思われる。

しかしながら、「紛争類型別要件事実」(法曹会)や、要件事実の考え方と実務(民事法研究会)では、ほとんど言及がない「せり上がり」や「a+b」といった場面や、一連の抗弁再抗弁から派生的に生ずる予備的主張といった場面についても言及がなされており、入門から、さらに一歩、基礎力を養うには、大変勉強のしやすい本であると言える。

ただ、当然ではあるが、要件事実の書籍であるので、事実認定については別途別に勉強する必要があるので、これをもって、裁判がわかるかというと、そういうわけにはいかない。

しかしながら、要件事実論の基礎力をつけるには最適な書籍であり、また、債権法改正にも対応しており、新法であればこうなるといった言及(もっとも新法自体の詳しい解説があるわけではないので、新法の勉強には別途の書籍が必要)しており、改正法が施行されても十分に使える書籍となっている。

  

要件事実論30講 <第4版>

要件事実論30講 <第4版>