債権譲渡通知前に対抗できる事由は再々抗弁ではなく、抗弁になる。
債権譲渡通知が到達する前に前債権者に足して対抗できる事由は新債権者に対しても対抗できます。(民法468条2項)
感覚的には、
抗弁「権利抗弁として前債権者からの通知がないと債権者として認めない」
再抗弁「前債権者からの通知の到達」
再再抗弁「通知到達前の事由を対抗」
となりそうです。
ところが、
抗弁「前債権者に対する事由の対抗」
再抗弁「前債権者に対する事由の発生前の譲渡通知の到達」
となるのが、正しい。
なぜ、再再抗弁とならないかですが、再々抗弁というものが、相手方の再抗弁の存在を前提として、その効果を打ち消して、元の抗弁の効果が発生するというものですが、これを再再抗弁として位置付けるとなると、最初の抗弁である「債権者として認めない」が復活するという効果が得られる必要があります。
しかし、債権者として認めないということについては、再再抗弁で復活しませんよね。
ですので、時系列的論理では、再再抗弁になりそうですが(譲渡通知がされていることの抗弁が出てきて初めて議論になるので)、抗弁の法的な効果上、民法468条2項の抗弁は別の系統の抗弁として位置付けることになるわけです。